新築の廃病院

精神的に辛い時に更新するのでまともな文章は読めません

クッキークリッカーと私

 クッキークリッカーというゲームをご存知ですか?2013年頃に流行っていたゲームでひたすらクッキーをクリックしてクッキーを作るという無料ゲームです。中毒性があり、クッキークリッカーオンリーイベントなども開催されていたようです。クッキーをクリックしてクッキーを増やすと書きましたが、増えたクッキーで何らかの"施設"を買うことが出来ます。その施設によりクッキーをクリックせずにクッキーを作れるようになり、また増えたクッキーで施設を買うという所謂放置ゲーです。施設はバラエティに富んでいてクッキーを自動でクリックしてくれるカーソル、クッキーを焼いて増やしてくれるおばあちゃんといったオーソドックスなもの。対してクッキーを錬金術で生成する錬金術室や濃縮した反物質をクッキーに変換する反物質凝縮器等、他にも時間、光、因果律Javascript、外宇宙を用いる施設が存在します。施設以外にもアップグレードを購入することでクッキー生産効率(cpscookie per secondの略)が上昇するのは勿論、竜を育てたり、季節を制御して季節限定イベントを発生させたりと様々なことが出来ます。周回要素も存在し、周回することで上位のクッキーが得られます。それで上位のアップグレードを購入し、それによって周回前よりcpsが遥かに上昇します。このようにしてcpsを高めていくことがこのゲームの目的であって明確なゴールは存在しないのです。

 ところで私は高校3年生の頃、受験勉強をしたくありませんでした。高校1年生の時は比較的勉強に力を入れていたと思います。塾に通っていたのですが模試の成績上位者はランキングとして張り出されていました。人と比べて少し数学が得意だった私は「高校1年生にも関わらず数IAのランキングに載っている」というステータス、他の生徒へのマウントをモチベーションとしていました。従って学年が上がるにつれて勉強へのモチベーションは下がっていったのです。それに加えて私は逆張りをする癖、所謂天邪鬼で有り、皆がやっている事をやりたくないと思っていました。従って高校3年生になって周りが勉強に力を入れだすと途端にやる気が落ちたのです。その当時の楽しみは図書室に行って小説や漫画を読み、勉強をしている人々へ「推薦で受かっているから勉強をしないでいる」風を装ってプレッシャーをかけることぐらいしかありませんでした。もちろん推薦で受かっていません、落ちています。死ね。そんな時に出会ったのが前述のゲーム、クッキークリッカーです。反知性的で虚無で面白いこのゲームはその当時の私の求めていた娯楽に合致しました。私はこれにどれほどのめり込んだのかを書きます。施設は購入するごとに消費クッキーが増えていくため、どの施設を購入すれば消費クッキーに対するcps上昇が高いのか。それを調べるためにエクセルで消費クッキーの上昇量からのクッキー消費率や他のアップグレードとの兼ね合いでのcps上昇の計算式を施したエクセルを用いて、今どの施設を買うのが最適であるのかを調べるものを作りました。クリック自動化ツールを用いて一日中パソコンを付けクッキーを生成、家に帰って周回し放置する。補助ツールやチートツール等のサードパーティ製アドオンを導入。しかしこれらを用いてもクッキークリッカーの全実績解除には至らなかったのです。ですので私はこのエンディングの無いゲームに全実績解除というエンディングを設けてプレイすることにしました。クッキークリッカーは大学生になってからも続けていました。他の皆が受験勉強に苦しんでいる時も、センター試験の結果を一喜一憂している時も、大学に合格して飛び上がって喜んでいる時も、大学生になり期待と不安で胸がいっぱいである時も、サークル活動を楽しんでいる時も、パートナーとセックスしている時も。私はクッキーの生成に苦しみ、クッキーに一喜一憂し、クッキーが飛び上がって喜び、クッキーとクッキーで胸がいっぱいで、クッキー活動を楽しみ、クッキーとセックスしていました。そして貴重な青春時代をクッキーに変換し(このような施設はまだ導入されていない2022/01/27)、遂に私は全実績解除まで辿り着いたのです。

 2017年7月15日クッキークリッカーにアップデートが入り新しい実績が追加されました。従って全実績解除という状態ではなくなりました。私はまた全実績解除が出来ると歓喜し、アップデート内容の確認をしました。アップデートで砂糖の塊(sugar lump)が実装されました。これは1日1つ入手でき、使用することで施設のcpsを上昇することができるものです。そして新しく実装された実績。この時点で嫌な予感はしていました。何故ならアップデート以前ですらチートを使ってようやく解除されるような実績です。そしてその予感は的中しました。365個の砂糖の塊を入手する、「year's worth of cavities」。直訳すると一年分の虫歯です。"cookie clicker 日本語wiki"に翻訳された実績名称が載っていました「空虚な一年」。皆さんの想像通り、この実績を解除するためには少なくともあと1年必要となります。絶望しました。また、これまでのクッキークリッカー生活を否定されたような気持ちになりました。思えば空虚なクッキークリッカー生活であったと顧みました。クッキークリッカーをしていなければ、もっと勉強していたかもしれない、センター試験も高得点だったかもしれない、もっと良い大学に入学できたかもしれない、サークルにももっと力を入れていたかもしれない、もっとセックスできていたかもしれない。クッキークリッカーに人生を狂わされ、時間を浪費させられ、それからやっと解放されたと思ったらこの「空虚な一年」がまた続くのかと思うともう心が折れていました。

 最後に皆さんに忠告があります。私達は現実に生きています。ゲームに生きていません。ましてやクッキーをクリックする虚無に貴方は存在していません。ゲームに人生を狂わされることの無いようにして下さい。クッキーには気をつけて下さい。ワンクリック詐欺には気をつけて下さい。貴方の青春はクッキーをクリックするためのものでは無いはずです。「クッキーを食ってもクッキーに食われるな。」

以上です。

 

 

 

 

あとクッキークリッカーは実際超面白いブラウザで出来る無料ゲームなので全実績解除を目指さないのであれば皆さんもやってみて下さい。このブログにクッキークリッカーを貶める目的はありません。私が愚かなcookie clicker(クッキーをただクリックする者)であっただけです。

Orteil(クッキークリッカーの作者)から苦情が来たらこの記事は消します。